2022/01/13
得意先や同僚、クラスメイトの名前で『つじ』さんっておられませんか?
という私も『辻』という苗字です。
自分自身も慣れ親しんだ『つじ』は一点の『しんにょう・しんにゅう』(以下『しんにょう』と表記)です。
では、いつから二点の『しんにょう』がパソコンやスマートフォン等の機器で表示されるようになったのでしょう。
1点のつじ
2点のつじ
興味本位で、私が高校生の時に使っていた漢和辞典昭和63年発行『新字源(281版)』に『つじ』は、二点で記載されていました。てっきり一点だと思っていましたが...
そこで、部首の説明を見てみると、
「~辵を部首にして、ゆく、すすむ、うごき、へだたりなどの意を示す字ができている。尚楷書ではおおむね省略系の『辶』を用い、常用漢字ではさらに省略して『一点のしんにょう』としている」
と記載されていました。
『辶』も、もともとは、省略系だったんですね。
歴史の中で、『漢字の形』も変わってきました。同じ漢字でも現代の中国で用いられている『漢字』と日本で用いられている『漢字』では異なっています。
明治時代、学校教育制度の近代化が進み、1700年ころの中国で正しいとされていた漢字の形が「二点しんにょう」だったため、明治政府はそれを取り入れました。『辶』は二点が正しいとされる大元です。
戦後、日本の政府はより分かりやすい教育を目指して、それまで学校で教えていた漢字の一部を簡略化するという計画を実行しました。1981年に制定された『常用漢字表』において、『常用漢字』は1点のしんにょうに統一されています。これにより、学校で習う『しんにょう』は一点で教わることになります。
しかし、『つじ』は国字であり、『常用漢字表』に入らなかったいわゆる『表外字』です。
「常用漢字表」の答申では、「当面、特定の方向を示さず、各分野における慎重な検討にまつこととした」と言います。これにより『つじ』に関しては、一点でも二点でもどちらも正解となりました。
印刷文字の字体が不安定ではよろしくない、ということで新たな基準が作られます。それが2000年の国語審議会の答申「表外漢字字体表」です。ここで『常用漢字表』以外の字形に二点しんにょうを採用しました。
2004年改定の『JIS』はこのことを受け、『つじ』を二点に変更します。最近、二点の『辻』がよくみられるようになったのはこのことがもとになっているます。
戸籍上は一点しんにょう『つじ』と二点しんにょう『つじ』は別字として区別されいます。正式な公文章に記す際には注意が必要です。もちろん『はんこ』も注意なさってください。
ただし、下の名には二点しんにょうの『辻』しか使用できません。今まで下のお名前に『辻』が入っている方は今までお会いしたことございません。